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【2008年6月】 とうもろこし・大豆市場

需給タイト化構造よりも気象環境に注目すべき

大起産業(株)調査研究室 小菅 努

Tel:052-201-6311(代表)
E-Mail:kosuge_tsutomu@hotmail.com

天候相場に突入する
 5月の穀物相場は米国の作付け期を迎え、先行き不透明感からボラタイルな展開となっている。3月末の作付意向調査では、大豆が前年度の6,361万エーカーから7,479万エーカーまで17.6%の増加予想、トウモロコシは同9,360万エーカーから8,601万エーカーまで8.1%の減少予想となっており、基本的には大豆需給が緩和する一方、トウモロコシ需給はタイト化する見通しである。ただ、実際の作付面積が確定されていないことに加え、今後の気象環境次第ではイールド(単収)の大幅な修正が行われる可能性もあり、短期トレンドは天候相場としての性格を強めている。

トウモロコシ需給は天候次第
 米農務省(USDA)は、5月需給報告において、2008/09年度需給見通しの発表を開始した。トウモロコシの期末在庫に関しては、前年度の13億8,300万Bu(在庫率10.6%)から7億6,300万Bu(同6.0%)までの減少予測となっている。作付面積の減少を反映して生産高が121億2,500万Bu(前年度は130億7,400万Bu)、総供給が135億2,300万Bu(同143億9,300万Bu)まで落ち込む一方、総需要は127億6,000万Bu(同130億1,000万Bu)と2007/08年度に次ぐ高いレベルを維持することで、需給逼迫化の流れが加速する見通し。2月の農産物展望会議(アウトルック・フォーラム)では、総需要130億2,000万Buとの予測が示されていたことで、期末在庫の水準は市場コンセンサスを上回ったが、2003/04年度以来の在庫率10%割れが予測されている意味は大きいだろう。
 イールドに関しては、作付けの遅れを反映して153.9Bu/エーカーとトレンドイールド(154.9Bu)を1.0Bu下回る水準に設定されている。長雨と低温によって5月11日時点の作付進捗率が平年の77%に対して51%に留まるなど、高イールド実現の前提条件が崩れ始めており、先行き不透明感が一段と強くなっている。仮にイールドが150.0Buまで引き下げられれば、生産高は118億2,000万Buまで3億0,500万Bu下方修正され、期末在庫は4億5,800万Buまで落ち込むことになる。
 一方、作付面積に関してもある程度の下方修正は避けられないだろう。イールド153.9Buを前提とすると、100万エーカーの減少につき約1億4,000万Buの減産要因となるため、1995/96年度のように300万エーカー規模の作付けシフトが行われれば、極度の需給逼迫状態が実現する可能性もある。こうした減産リスクを考慮すると、足元の市場心理が強気に傾いていることも首肯できよう。

大豆需給にも逼迫リスク
 2008/09年度の大豆期末在庫は、前年度の1億4,500万Bu(在庫率は4.8%)から1億8,500万Bu(同6.0%)まで小幅増加見通しとなっている。アウトルック・フォーラムで示されたイールド(42.1Bu)が維持されたことで、生産高31億0,500万Bu(前年度は25億8,500万Bu)には特にサプライズがない。ただ、前年度からの繰越在庫の落ち込みが予想以上に大きかったことで総供給は31億0,500万Bu(前年度は31億6,900万Bu)と作付面積の大幅な増加にもかかわらず、大幅な積み増しが難しいことが確認できる。
 需要サイドでは、輸出が前年度の10億9,000万Buから10億5,000万Buまでの下方修正に留まっていることが注目される。足元では米国産から南米産へ供給責任の主役がシフトしているが、南米がその責任を十分に果たせていないことで、米国産に対する引き合いに上振れリスクが高まっている。総需要30億7,300万Buは、アウトルック・フォーラムの29億4,700万Buを1億Bu上回っており、在庫見通しの下方修正に直結している。今後は、作付面積の大幅な拡大によって、足元の需給タイト感をどこまで緩和できるかが焦点となる。

大豆は南米産の動向に注目
 南米産大豆は収穫期に差し掛かっているが、アルゼンチンとブラジルからの新穀の出回りに混乱が生じており、米国産大豆に対する振替需要が拡大している。アルゼンチンでは、政府が輸出関税を従来の35%から45%まで引き上げる方針を示したことで、農家の抗議行動がエスカレートしており、5月上旬のストライキでは穀物販売が完全に停止した。また、ブラジルでは同国通貨レアル高が加速していることで、収穫された新穀大豆が輸出市場に出回るまで時間が必要との見方もある。なお、輸出入市場における両国の世界シェアは50%に達しており、米国の輸出シェア39%を大きく上回っている。

6月の穀物相場展望

 5月需給報告で、穀物はタイトな需給構造が再確認された形となっている。特にトウモロコシはイールド次第では在庫がほぼ枯渇状況に陥り、過去に経験したことのない需給逼迫状況に追い込まれる可能性もある。穀物相場は潜在的な上昇余力を多く残していると言えるだろう。ただ、短期動向は気象環境に強く依存する見通しであり、需給環境よりも気象環境を重視したポジション形成を心掛けるべきだろう。
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