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| 生産期入りも波乱含みの展開に |
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大起産業(株)調査研究室 小菅 努
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底打ち感強まるも
東京ゴム相場は、8月22日の232.50円をボトムに上昇トレンドを形成し、250円台回復からの一段高を試す展開となっている。6月以降の急落局面で直近高値から66.00円(22%)の下げ幅を記録したが、これは内部要因に基づく投機的下げ相場との評価が定着している模様だ。主産地タイがウインタリング(落葉期)に伴う減産期明けした事で、供給サイドから需給緩和が促された性格も否定できないが、それ以上に一部ファンドが大量のショートポジションを構築した影響が大きいとみられる。こうした投機的な売りが一巡した以上、ゴム相場が自律反発局面に入ったのは当然の帰結と言える。
ただ、こうして投機的安値を否定した後のゴム相場は、明確なテーマを設定できていない。相場は8月下旬から緩やかな上昇トレンドを形成しており、これは産地相場の堅調地合を反映したものと評価することも可能だ。しかし、実際のマーケットでは産地市場と東京市場で需給環境に対する評価が完全に異なっており、産地相場は足元の需給タイト感から地合を引き締める一方で、東京市場はタイトな産地需給を殆ど無視しているのが現状である。相場上昇の原動力は、円相場の軟化や石油・貴金属相場高などの他市場に依存しており、独自材料難から出来高・取組高の減少傾向にも歯止めが掛からない状況となっている。
生産期入りも在庫は増えず
天然ゴムの生産地は東南アジアに集中しているが、タイやマレーシアが本格的な生産期入りしており、年末に向けての供給量は高水準となる見通しだ。国際ゴム研究会(IRSG)発表のデータ(2006年)によると、タイ、インドネシア、マレーシアの天然ゴム生産高は第1四半期の169.9万トンから減産期入りする第2四半期に155.2万トンまで減少しているが、その後は第3四半期185.9トン、第4四半期164.2トンと、年末に向けて高いレベルが期待できる状況にある。
こうした生産見通しを背景に需給緩和シナリオを描く向きも多いが、少なくとも今年は「増産期=弱気」論は否定されると考えている。その理由の第一が、足元の生産高が必ずしも伸びていないことだ。タイやマレーシアではモンスーンの発生や多雨といった気象環境悪化によって、タッピング(ゴム原樹の採取)に支障が生じており、タイ中央ゴム市場におけるRSS3号の集荷量は平年の約3分の2の水準に留まっている。これはあくまでも天候不順による一時的な落ち込みであるが、インドネシアのウインタリング(落葉期)と重なったこともあり、短期需給がタイト化しており、需要家は生産期入り後も十分な在庫量を確保するのに失敗している。
ここで消費国の在庫環境に目を向けると、日本ゴム輸入協会発表の全国営業生ゴム在庫は、2月20日に1万9,504トンまで積み上げられたが、足元では8,404トン(9月20日現在)と7ヶ月間で半減し、前年同期比でも82%の水準に留まっている。出庫は前年同期の水準を下回っているが、それ以上に入庫の落ち込みが大きく、これまで十分な輸入が行われていなかったことが確認できる。一方、最大消費国である中国の上海取引所在庫は、4月20日の10万5,060トンをピークに減少トレンド入りし、7月中旬以降は7万トン前後を推移している。9月入りした後は、生産地で当用買いを増やす動きが強くなっていることで、在庫減少傾向に一服感も出ているが、それでも需給バランスはほぼ均衡状態に留まっていることが確認できる。これまで需要家は、在庫消費の比率を高めることで、生産地での買い付け量を抑制してきた。しかしその結果として、手元在庫は低レベルに抑制されており、このまま輸入量を抑制した状態で需給バランスを維持し続けることは難しいだろう。
中国勢の買い付けに期待
「増産期=弱気」論が否定される第二の理由だが、中国を中心とした需要家の買い付け量が増加見通しとなっていること。中国税関総署によると、中国の1-7月期天然ゴム輸入量は86万トン(前年同期比+1.5%)と概ね前年同期並みの水準に留まっている。同国の需要動向や国内生産量からは、年間輸入量が15万トン程度上振れすると予測しており、これまでの輸入量は絶対的に不足している。9月に入ってからは、マレーシアなどで買い付け量を増やす動きが観測され始めているが、年末が近づけば来年の減産期に向けて在庫積み増しの必要性は一段と高まり、輸入活動は一段と活発化することが予測される。これから供給サイドから需給緩和圧力が働き易くなっているが、良好な需要環境は生産期入りした後も需給緩和シナリオを否定するとみている。
東京市場では需給環境に対する関心が低下しているが、マクロ需給環境からは250円水準を下値に底堅い展開を想定している。生産水準が平年並みに留まる一方、中国勢が本格的な買い付けに動き出せば、300円水準まで値位置を切り上がる可能性も否定できない。一方、再び250円割れからの一段安を試すシナリオとしては、WTI原油相場の急落や円高といった他マーケットの動向、内部要因、テクニカル要因などの需給環境以外の要因に依存せざるを得ないだろう。
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