米国経済指標レポート
【図解】米国商品市況
Daiki Market Report Weekly
Daiki Market Report Monthly
投資分析室
会社概要
サイトマップ
トップページ





トップページDaiki Market Report Monthly > 【2007年9月】 白金市場

【2007年9月】 白金市場

南アの鉱山ストを巡る混乱の後

大起産業(株)調査研究室 小菅 努

Tel:052-201-6311(代表)
E-Mail:kosuge_tsutomu@hotmail.com

ボックス相場が続く
 5月以降のNYMEX白金相場は、概ね1,250-1,350ドルのボックス下限を試す展開となっている。7月は最大生産国である南アフリカでストライキ発生の可能性が高まった事で、一時1,350ドルまで値位置を切り上げる場面も見られた。ただ、@南アフリカの労使交渉が妥結に向かっている事、A日産自動車の新触媒技術開発、B米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題に起因した金融市場の混乱などから、ボックス上限をブレイクして、新たなトレンドを形成するには至っていない。1,250ドル水準では実需の物色意欲も旺盛だが、高値更新からの一段高を目指すシナリオを描くのも難しい情勢となっている。

南アのストライキは解決へ
 南アフリカでは6月から鉱山会社と労組の間で賃金交渉が行われているが、本稿執筆時点では一部を除いて妥結しており、供給不安は後退している。全国鉱山労働者組合(NUM)は8月8日、白金生産最大手のアングロ・プラチナと初年度8.5-10%、次年度8-9%の賃上げで合意した。また、インパラ・プラチナとは初年度8-10%、次年度7.25-8.5%の賃上げが合意されている。NUMサイドは当初、15%の賃上げ要求を行っていたが、鉱山会社サイドが7.5-9.0%の賃上げ提示から歩み寄りの姿勢を見せた事で、8月上旬には賃金協約への調印が相次いでいる。
 マーケットでは、8月にもストライキが決行され、供給見通しが大幅な修正を迫られるリスクが警戒されていた。仮に南アの白金生産が一週間に渡って停止すれば、約14万オンスの供給が喪失される事となる為だ。今年度の白金需給は概ね均衡状態にあると見られるが、2006年の総供給量が678.5万オンス(ジョンソン・マッセイ社)であった事を考慮すれば、この数値は決して軽視できるレベルではない。実際、白金需給は2004年から供給超過状態へ転換する可能性が指摘されてきたが、同年には労働争議による操業率低下、2005年には精錬所の爆破事故で供給量が落ち込んだ結果、1999年から続く需要超過状態が維持された経緯がある。ただ、こうしてストライキ発生の可能性が後退している結果、年末までに特段の供給障害が発生しなければ、今年は5-10万オンス程度の供給超過状態となる可能性が高いと見ている。

日産の触媒新技術

 日産自動車は7月27日、「従来の約50%の貴金属の使用量で、クリーンな排出ガスを実現するガソリン車用の新触媒を開発した」と発表した。自動車の触媒には、排出ガスをクリーンにする為に白金やパラジウムなどの貴金属が使用されているが、化学反応を生じさせるには一定の表面積が必要とされている。従来は、排出ガスの高温に晒されると貴金属の表面積が減少してしまう為、予め貴金属の使用量を増やしておく必要があった。しかし、今回開発された新技術は貴金属の表面積の減少を防ぐ為、従来よりも格段に少ない白金使用量で済む事となり、2008年度から実装される事になる。
ただ、今回の新技術はあくまでもガソリン車を対象としたものである為、マーケットではマクロ需要環境に対する影響は限定的との見方が強い。最大で5-7万オンス程度の需要押し下げ要因になると試算しているが、大きな影響はないだろう。過去には、ベルギーの触媒大手ユミコアが同様の技術開発を行ったが、自動車触媒需要の拡大トレンドは阻止できなかった事を確認しておきたい。

サブプライムローン問題の余波
 こうした中、白金相場のトレンドを考える上では、米国のサブプライムローン問題に端を発した金融市場混乱の影響が注目される。住宅市場の減速は、サブプライムローンの焦げ付きを招き、金融機関や関連投資ファンドの経営危機を招いている。この結果、投資家のリスク許容度低下から安全志向が強くなっており、既に株式売り・債券買いのフローが発生している。現段階では商品市場に対する影響は限定されているが、リスク要因の一つとして注意が必要だろう。これがベアマーケット(弱気相場)の始まりとなる可能性は低いと見ているが、問題が長期化すれば白金市場の調整局面も長期化を余儀なくされる事となる。
 7-8月は需給関連に幾つかの動きが見られたが、結果的には需給バランスを大きく歪める事なく、中期トレンドに対する影響も限定的と見ている。今後は再び投資環境をテーマ化し、金市場との連動性が高まる可能性が高い。サブプライムローン問題が実体経済に波及しない限りは、米長期金利の低下、ドル安傾向が、貴金属相場の上昇トレンドを支持する見通しである。年末に向けての需給環境には弱材料も目立つが、近年の白金相場は需給理論で動いておらず、相場の下落余地は限定される可能性が高い。COMEX金相場が700ドル台回復を目指す中、NYMEX白金相場も1,350ドル水準のボックス上限を試す展開を想定している。

このページのトップへ