|
2007/05/15
大起産業(株)調査研究室 小菅 努 |
| Summary 【需給概要】 |
| 2006年の白金需要は、前年比8万オンスの677.5万オンス。引き続き自動車触媒需要が大きく拡大しており、宝飾需要の落ち込みを相殺している。また、工業関連需要も堅調となっている。供給は、前年比14.5万オンスの678.5万オンス。需要の伸びを上回っており、需給バランスは1万オンスの供給超過となっている。1999年から需要超過状態が続いてきたが、8年ぶりに解消された。 |
| Supply-1 【南アフリカの供給状況】 |
2006年の南アフリカからの供給量は、前年比17.5万オンス増の529万オンス。最大手アングロ・プラチナの生産状況が良好であった事が寄与。同社の生産高は前年比18万オンス増の282万オンスに達している。既存鉱区の生産が好調だった事に加え、新規鉱区での生産も順調に進捗している。特に、RustenburgとAmandelbultでの生産状況が良好。
インパラ・プラチナの生産高は、前年比7%減の108万オンス。鉱区によってばらつきがあるが、鉱石の品質低下から採掘量との比較で精製量が伸び悩んでいる。
ロンミン・プラチナの生産高は、前年比3%増の94.8万オンス。パイプライン在庫の放出などから前年の水準は上回ったが、鉱山生産高は低調。 |
| Supply-2 【ロシア/北米の供給状況】 |
ロシアの2006年生産高は、前年比1万オンス減の88万オンス。ノリリスク・ニッケルの生産状況は良好だったが、同国全体としては特に目立った供給環境の変化は見られない。2007年もほぼ同水準の生産が計画されている。
北米の生産高は、前年比2万オンス減の34.5万オンス。Inco社所有の鉱区からの生産が伸び悩んでいる。一方、ジンバブエの生産は前年比6%増の16.5万オンス。増産基調は維持されちえるが、小幅増に留まっている。 |
| Demand-1 【自動車触媒の需要動向】 |
2006年の自動車触媒需要は、前年比4万オンス増の419.5万オンス。欧州でガソリンからディーゼル車へのシフトが生じている事、世界的な自動車生産台数の増加などが寄与している。
欧州での自動車生産台数は概ね横這いとなったが、ディーゼル車の市場シェアが51%まで拡大しており、一台当たりの白金使用量が増加している。2006年10月からはEuroWが導入されており、今後も同地区の自動車触媒需要は拡大見通し。
日本の自動車触媒需要は、前年比0.5万オンス減の59.5万オンス。自動車生産は海外向けを中心に堅調だったが、白金相場の高騰からパラジウムを代替貴金属として使用する動きが広がり、伸び悩んだ。ただ、2007年は海外での自動車生産能力不足から国内生産台数の増加が見込まれており、白金需要は高水準を維持する見通し。
北米の自動車触媒需要は、前年比8.5万オンス増の90.5万オンス。カリフォルニア州を中心に排ガス規制強化の動きが強くなっており、自動車触媒向け需要が急速に拡大している。これまでは安価なパラジウムを使用する動きが強かったが、白金使用量を増やしたフィルターを使用する動きが強くなっている。
中国・その他の自動車触媒需要は、前年比8万オンス増の38万オンス。中国では特に環境規制強化の動きは見られないが、自動車生産台数の増加が触媒需要の拡大に直結している。 |
| Demand-2 【宝飾品の需要動向】 |
2006年の宝飾需要は、前年比36万オンス減の160.5万オンス。前年同様に価格の高騰とボラティリティの高まりを受けて、需要が落ち込んでいる。
中国では前年比11.5万オンス減の78万オンス。上海取引所で価格上昇局面での買い付けが急激に落ち込む事からも明らかな様に、同国は価格動向に極めて敏感である。小売レベルでの需要に関しえは、総じて良好な状態が維持されているが、小売や加工業者が価格変動リスクやマージンの縮小を嫌って取扱量を減らしている。
日本の宝飾需要は、前年比15万オンス減の36万オンス。円安から円建て価格の割高感が強く、需要減少傾向が加速している。また、古い宝飾品がスクラップ市場に供給されている模様。
北米の宝飾需要は、前年比3.5万オンス減の24万オンス。他地域同様に価格上昇による需要減退傾向が顕著となっている。他貴金属の宝飾品に対する価格競争力の低下が、需要の減少に直結している。 |
| Demand-3 【工業の需要動向】 |
工業需要は、前年比18万オンス増の187万オンス。
化学関連需要は、前年比3.5万オンス増の20.5万オンス。パラキシレンシリコンや硝酸向け需要が堅調。
電子・電気関連需要は、前年比6.5万オンス増の42.5万オンス。ハードディスクなどの消費者向け商品需要が堅調。
ガラス関連需要は、前年比3万オンス増の39万オンス。アジア地区でLCDガラス製造などが堅調。 |
| Outlook 【展望】 |
2007年上期は南アフリカの生産が当初計画を下回る一方、自動車触媒需要の拡大が続く事で、需給は逼迫見通し。アジア地区の宝飾需要は伸び悩む見通しだが、世界全体では宝飾需要に立ち直りの兆候が見受けられる。また、ETF(上場投資信託)市場の誕生も支援材料。もっとも、年末向けては南アフリカからの供給が再び拡大する見通しであり、需給バランスは供給超過状態となる見通し。
価格は、タイトな需給環境、ETF市場の誕生などを受け、今後6ヶ月以内に1,400ドルに達す売る可能性がある。ただ、ファンドの方針が転換すれば下落するリスクもある。1,200ドル水準では消費者や投機筋の買いが下値を支える見通し。 |
|